He Asked "Not Any Lions"?

hanaliのブログです

Gorge再入門! ”ゴルい”耳の開拓ガイドブック

本記事はGorge Advent Calendar 2014 8日目の記事です。


Gorge Advent Calendar 2014 - Adventar

はじめに

Gorge(ゴルジェ)が日本で盛り上がった一般的に"Gorge Explosion"と言われる2012年から、間もなく3年が経とうとしています。さまざまに進化・発展・退化・没落を行いながらひっそりとシーンの片隅に生存し続けているGorgeですが、最近こんな声が聞こえてきています。

「いろいろなものがあり過ぎて何がGorgeなのか分からない」

「内輪で盛り上がっているみたいで知らない人から見て分かりにくい」

「何でもかんでもゴルいって言えばいいって思ってんじゃねーの」

「今だったらゴルジェとか作って出しますってやっても、出る頃には多分、完全に終わってるんで」

時間が経つうちにいろいろな情報が行き交ううちに、そもそもGorgeとは何なのか、ということが薄れていっていくわけです。

いろいろとネット媒体に残っている情報はあるわけですが、それはおググりいただくとして、この機会に一度、入門編の記事を書こう、と思い立った次第であります。

ということで、「Gorge再入門! ”ゴルい”耳の開拓ガイドブック」と銘打った本記事。自分のGorgeに出会った当初の経験を交えて、さまざまな過去のゴルい音楽を紹介しながらGorgeおよび「ゴルい」という音楽の聴き方のガイドになるようなものを目指したいと思います。

なお、今回は入門記事という観点から、Gorge Explosion2012年以前の過去の"ゴルい"音楽を中心に、その中でも有名なトラックに絞って紹介します。これ以外の音楽については有志によって黙々とコンパイルされ続けているRoots Gorge Archivesをご参照ください。


Roots Gorge Archives on Pinterest | 122 Pins


また2012年以降のGorgeの広がりについては、その加速度をまとめるのが非常に困難であるので、ぜひご自身でお調べいただければと思います。

 

「耳」の開拓

さていよいよ本題、の前に少し前置きです。いろいろな音楽を聴いている方にとっては伝わるかもしれませんが、ふとした何かのきっかけで「耳」が開拓される、という瞬間があると思います。

それまで何とも思っていなかった、または嫌いだったような音楽が、何らかのきっかけで、そして理屈抜きに、すごく魅力的に聴こえだしたり、まったく別の音楽にように聴こえ出す、というあの事象のことです。

「回路が開く」「補助線が引かれる」とか言葉はいろいろ当てはめようはあるのですが、そのように音楽が違う様相を伴って聴こえだして音楽の魅力にさらにハマっていく、という覚えがある方は多いのではないでしょうか。

自分の音楽リスニング史を振り返るとそのようなことは何度か経験しているのですが、中学生の頃に出会った「テクノ」というものがまさにその典型でした。

中学生の頃当初はBOØWY大好き、布袋寅泰氏リスペクトという典型的な田舎(北九州市小倉)のギター少年だった布袋氏のファンクラブに入っていたことは秘密)のですが、同級生にかなり尖ったリスナーの中村君という奴がいました。彼が「電気グルーヴのオールナイトニッポン」を聴いてテクノに衝撃を受けて「こういうんがいまやばいんよ」(方言)みたいに80分パンパンに詰まったテープ(AMラジオの録音)をいろんな人に貸して布教活動していました。

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▲hanali 14歳の図

で、私もそれを借りることに。「テクノってあれでしょ? 布袋が最近導入したっていうピコピコ~ってやつ」「ギターが入っていない音楽はちょっとなぁ」「ずっと同じループが鳴ってるだけやん・・・」とか全く興味なかったんですが、「いいから何度も聴けっちゃ!何度も!絶対良さが分かるけ!」という強い中村君の要望に従ってしょうがねーなみたいに聴いてるうちに・・・・。


Hardfloor - Lost In The Silverbox - YouTube

 いつの間にか頼まれていないのに無限リピートに。ほとんど覚えてないんですがHardfloorのこの曲が入っていたことだけは覚えています。「気持ちいい」とか「カッコいい」とかそういう言葉や理屈で分かる前に、何だかわからないけど何度も聴きたくなる、という体験がここでありました。「テクノ」という「耳」が開拓された瞬間を味わった後です。

「ゴルい」という耳

ということでそこから時は流れ、一気に最近の話に。私も大人になりさまざまな音楽を楽しむようになり、またそれなりにマニアックな音楽も楽しめるようになってきたわけです。

いろんな音楽を自由に楽しめるということは非常に愉快なことではありますが、人間というのは知識の蓄積によってより不自由になったりすることもあります。「あーこれはあのジャンルの曲だよね」「あの時代の影響受けてるな~」「あーこういうの前聴いたわ、流行は繰り返すんだよね」みたいになんか知ってるような気になったり、最近新しい音楽ないよね」みたいなウザ語りをしたり・・・。

まあそういうロクでもない音楽好きになりかけていたのは否定のできない事実であります。

それを覆したのがGorge、および「ゴルい」という聴き方です。

Gorgeそのもの出会いについては別の機会に記述するとして、そこから始まった「ゴルい」という耳の開拓によって一気に音楽の聴き方が変貌したのであります。

そのきっかけとなった曲がこれ。

1 Moebius-Plank-Neumuer 「Speed Display」

そしてこれ。

一世風靡セピア 「前略、道の上より」

 Moebius-Plank-Neumuerの「Speed Display」はジャーマン・ロックの名盤1983年リリース『Zero Set』の冒頭曲で、テクノのルーツとして名高い1曲。日本版CDはケンイシイが熱い解説を書いていた覚えがあります。

一世風靡セピアの「前略、道の上より」は哀川翔柳葉敏郎らによる男性路上パフォーマンス集団(でいいのだろうか・・)一世風靡セピアによる1984年のヒット曲
(っていま調べて書いててわかったんですがほとんどこの2曲同じ年ですね・・・)。ソイヤ!のかけ声が威勢良くて大好きです。
で、この2曲、当然のように昔から知っていたし好きだったわけですが、Gorgeを聞き始めて改めてこの2曲を振り返ってみてアレ? と思ったわけですよ。

「これってGorgeじゃない?」

Gorgeの定義は、オリジネーターとされるDJ Nangaが定めた以下の3つの条項(Gorge Public License)を満たすものです。

1) タムを使え(Use Toms)

2) それをゴルジェと言え(Say it "Gorge")

3) それをアートと言うな(Don't say it "Art")
で、Gorgeを聴いたり作ったりするうちに、まったく関係無いはずの上記の2曲の間にスッと線が引かれた瞬間があったのです。新しい「耳」が暴力的に開拓された瞬間でした。

物凄く簡略化して言えば「タム(太鼓)がドコドコ鳴ってる」っていう要素が一致しているだけなんですが、(キックとスネアではなく)そこに注目して聴くことによって、何か違うこれまでとまったく違う音楽が立ち現れてきた、というわけです。

3 うしろゆびさされ組 「うしろゆびさされ組



 という流れでこれを聴いてみましょう。アニメの「ハイスクール奇面組」のテーマとなったうしろゆびさされ組の定番曲ですね。

当時はそれまでまったく気付いてなかったのですが、このイントロのゴルさ! 非常にカッコいいですね。

という感じで、次々と今まで聞いたことのあるものが「ゴルい」という聴き方によってまったく違う音楽に聴こえてきたというわけです。

もちろんそこで鳴っている音はまったく同じです。ただちょっと違う視点・回路・耳によって聴くことで新しい音楽が聴こえてくる。

「最近新しい音楽とか無いよね」とか言っているのはまったくもって馬鹿馬鹿しい話でした。新しくないのは自分の耳だった! 

ということで、ただ単に「自分の耳/聴き方にフィットする音楽が登場するのを待つ」という受身の考え方から、ガンガン自分で積極的にいろんな「ゴルジェ」「ゴルい音楽」をひっつかめて楽しんでいこう!という姿勢に変わるきっかけを掴んだわけです。

ちなみに、「そんななんでもかんでも"ゴルジェ"とか"ゴルい"て言っていいわけ? オリジネーター怒んないの?」という疑問が沸くこともあるかと思いますが、そのような問題についてオリジネーターのDJ Nangaはエレガントな解答を述べています。

「お前が"これGorgeかも"って思った瞬間、それはGorgeになる」

Think Different, Say it "Gorge"というわけです。

Gorgeを巡る旅

 というわけでこの聴き方を知って非常に音楽が面白くなってきた2012年頃。前から知り合いだったuccelli氏、石井タカアキラ氏などにこのプレゼンをしたところ、見事にハマっていきました。さらにGorgeを通じて知り合ったHiBiKi MaMeShiBa氏なども合流し、さらにGorge研究が進んでいくわけです。

(ちなみに私が人に「氏」とつけるのは漫画道の影響です。どうでもいいですが!)

その中でもエポックメイキングだったのが、アニメ『AKIRA』の芸能山城組によるサウンドトラック。これも有名ですね。1988年作です。

4 芸能山城組 「Battle Againt Clowns」


実はこのサウンドトラック、Gorge以前はあまり好きではありませんでした。日本人がケチャとかガムランやる胡散臭さ、ニューエイジっぽいスピリチュアルな感じが何だかなーと思ってたところはあります。

しかしそういうコンテキストを一度置いておいて聴いてみると・・・いや順序が逆ですね。「ゴルい」という聴き方をすることによって、そういうコンテキストが切り離されて音楽を聴くことができた、というわけであります。

さていろいろ視点を変えていきます。いわゆるバンドには(普通は)ドラマーが居てドラムを叩くわけです。そしてドラムがあるからには(普通は)タムが置かれているわけです。

タムっていうのはよく考えると変な立ち位置の楽器で、ほぼ100%キック、スネア、ハットはリズムキープの要として叩かれるのですが、タムはたまーにオカズとして叩かれる、やたらでっかく鎮座しているわりに別に使わなくてもいい、という楽器です。

電子音楽のライブで、やたらでっかいシンセを頑張って持ち込んだのにほとんど演奏で使わない、みたいなものですね。

タムの立場から見れば「叩かれ待ち」をしているわけで、「いつ叩かれるのか?」というスリリングな時間が続くわけであります。ゴルジェ耳からすれば「いつタムが鳴るのか?」という「タム待ち」の時間であります。

というわけでコレ。

PINK FLOYD 「One of These Days I'm Going to Cut You into Little Pieces Live at Pompei 1972」


Pink Floidの1972年のライブです。やたらと壮大なイントロでジラされてタム待ちロマン。タム回しが始まったときに「キター」となるわけです。ドラムの俯瞰ショットが何度も何度も写されるのも狙っていたとしか思えませんね。

プログレは手数が多いこともあり、タムを叩きまくるゴルい曲も多いです。やはりドラマーは熟練すると、タムをフルに活用したゴルいドラミングを獲得するのでは?

というテーゼが成立するにように思わせておいて、今度は真逆のアプローチでこちら。

6 The Shaggs 「My Pal Foot Foot」

下手すぎによる新世界を切り開いたThe Shaggsの1969年リリースの曲です。

The Shaggsについてはこちらとか参照ください。


世界最悪のロックンロールバンド 「The Shaggs」とは - NAVER まとめ

そしてこのなーんとなく茫漠とならされる居心地のなさげなタム。たぶん、ドラマーの人は目の前にならんだ太鼓をとりあえず叩くべ、くらいな感じですかね。先ほどのPink Floydの自信に満ち溢れたタムの音と比べるとまったく違う表情なんですが、これまたゴルいです。

Gorge界隈で密かに囁かれる「ドラマーは最初はその稚拙さでタムを叩き、卓越したドラマーはその熟練の極みでタムを叩く」という説。「タムに始まりタムに終わる」というフナ釣りのような格言を勝手に捏造したくもなります。

さらに古い時代をたどります。60年代でこのような曲があります。1968年リリースです。

7 Silver Apples 「Oscillations」


Silver Applesと言えば、二人組の伝説の電子音響ユニット。そのエレクトロニクスのところが注目されがちです。かく言う私もこのカッコ良さに痺れていたんですが、改めて聴いてみてこのドラミングのカッコよさ。電子音とドラムだけ、という極限までシンプルな構成で、ひょっとしてエレクトニクスはこのドラムのゴルさを際立たせるために存在してるんじゃないか? と思わせる見事な怪作であります。

あらゆるところにゴルジェは存在する

 と言い出したのはHiBiKi MaMeShiBa氏でありますが、正直それは言い過ぎです。が、さまざまな音楽の中の、その一部にそっと毒を仕込むように、したたかにゴルジェは存在することは事実です。

昔のトラックへの旅を終えたところで、ここでぐっと最近に時代を戻してコレを聴いてみましょう。

8 Christian Vogel 「Mad Sex」

 恐ろしく打撃音だけで成立しているこのサウンド、これまで聴いていただいた方は「ゴルい!」と叫ばざるをえないのではないでしょうか? 1996年リリースの不朽のNo Futureサウンドです。

そろそろ皆さんにも「ゴルい」耳が開拓されてきたころかと思います。まだまだ紹介したいサウンドはあるんですが、自分で探求するのが音楽の楽しみ方の1つです。

ライミングでは「そのルートについての情報を一切知らずに1度で登り切ること」を「オンサイト」と言ってもっとも価値があることとされています。そのため、登る前にふとしたきっかけで情報を知ってしまう(「あのホールド使うんだよ」とか「あそこに足を置くんだよ」とか)ことは、「オンサイト権を失う」といって悲しむべきことです。

オンサイト権を奪うことはしません。ぜひ自分の耳さぐり、手さぐりで、いろいろな音楽から「ゴルい」を発見してみてください。

最後に2つだけ、最近のトラックで非常に重要なものをそっと置いておきます。

9 Shackleton 「Let Go」

10 Cut Hands 「Black Mamba」

それぞれの音楽については深くはここでは触れません。ぜひご調べください。

終わりに

というわけで、ゴルい10作を紹介したところで本稿は終わります。まだまだ紹介したい音源はあります。が、このガイドブックをお付き合いいただいた貴方に、「ゴルい」という聴き方は確実に備わっていることかと思います。ぜひその道標を辿り、さらなるゴルい音楽を見つけてきていただければと思います。
また、2012年以降の音楽に関しては、ちょうど2014年12月に2つの大きな動きがありました。

"Knife Ridge Breakin'" One Push by Yuko Lotus

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GORGE FES 2014 -stage1-

GORGE FES 2014 -stage2-

 

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「今」のGorgeの動きを捉えるのに重要なリリースとなっていると思います。ぜひ上記の音をチェックいただければと思います。

 

以上、ご清聴ありがとうございました!

 

Gorge3分間ハッキング

これはGorge Advent Calendar 2014年1日目の記事です。

Gorge Advent Calendarは、「Gorge」に関することなら何でもOKの持ち寄りブログカレンダー(みたいなもの)です。Gorgeについて何か語りたいこと、聞きたいこと、教えたいこと、怒りたいこと、ディスりたいことある方は、この機会にぜひぶちまけてください! 

ということで第一回は最速Gorge作成研究会の成果発表「Gorge3分間ハッキング」です。


Gorge Advent Calendar 2014 - Adventar

 

Gorge 3分間ハッキング

ここ3年くらいいろいろなGorgeを作っていて、結構毎回試行錯誤で作っています。同じ方法をやり過ぎると同じようなアウトプットになってしまうこともあり、定跡を定めずいろいろと方法を変えて悩みながらやっています。そしてその分時間もかかってしまうことが事実であります。

ただ、その中でもこれが最も最短! という方法があります。あまりにも簡単なので自分の中では封じ手に近いのですが、あまりにも簡単なのに意外な展開を見せる危険な魅力がありまして、ついフラフラとやりたくなってしまう危険メソッドであります。

たぶんGorgeでしか成立しにくい荒っぽい方法だと思います。ここでは自戒も含めて、その「3分間ハッキング」と題して(実際は3分以上かかってますがノリ的に・・・)作り方をここであえて公開します。

Gorge Advent Calendar 2014 Jingle

というわけでそのメソッドを前面に活かして、会社から帰って寝る前の1時間で作ったGorge Advent Calendarのジングルがこちらです。

 ジングルというには長すぎという噂もありますが、無闇にタムが鳴ってる感はゴルいですね。

 さて、このトラックはほぼ1つのMIDIクリップから成り立っています。しかもそのMIDIクリップの元ネタはパクりなところが申し訳ないところです。それをひたすらコピペして作っただけであります。つまりパーフェクト・コピペ・ゴルジェ。コピペって楽ですよね~。アーティスト性皆無であります。ま、「アートと呼ばないこと」がゴルジェのルールであるので、全く問題ないわけですよ。

このことの価値判断はさておきながら、どういう風にして作ったか、ということが今回のお題として紹介していきます。

MIDIサンプリングでゴルジェライズ!

MIDIサンプリング」とか言うと話は大げさになりますが、まあありもののMIDIクリップ使いまわそうぜ、ということが今回の話の趣旨になります。

で、意外と無料で使えるのがあるもんなんですよ。私はドラム・キットのNATIVE INSTUMENTS Kontaktの「Studio Drummer」を結構多用してます。というかそんな機材持ちではないのでひたすらこれを使っているという事情もあります。

で、実はこれにいい感じのMIDIクリップがついているんですよね。

 

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 NATIVE INSTRUMENTS KontaktのStudio Sessionの画面。右上の「GROOVE」からMIDIクリップをコピペできる

ごくテキトーにMIDIクリップを上の画面から選んで、お、かっこいいかも、って思ったやつをいつも使っているAbleton Liveのセッションビューのクリップにコピペするところから始まります。

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 ▲ABLETON LiveMIDI編集画面。KontaktMIDIクリップが再現されている。

さて、このクリップはどういうものか聴いてみましょう!

 おお、かっこいいグルーヴですね。でもま普通。ゴルくはないですよね・・・。

さてこれをどうゴルジェ化してみましょう。

ここでおもむろに、先ほどのMIDIクリップの一部を動かしてタムの音にしてみます! テキトーにいろいろ上下にズラして、グルーヴはそのままに音だけを入れ替えてタムをバカスカ鳴らします。イッツゴルジェライズ!

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 ▲ピッチをずらしてタムの音を中心に鳴るように入れ替える

さて聴いてみましょう!

 おお、いい感じでタムがバカスカ鳴ってくれてます。テキトーにズラした結果入ってしまったハットもちょうどいい案配です。

さらにコピペドリブン・トラックメイク

よし、これを中心にトラックを仕上げていくかーというわけでまたコピペ。これをLiveの機能でクリップのBPMを半分にします。

f:id:tokita93:20141126020950p:plain▲半分のBPMに落としたMIDIクリップ

 ハーフのリズムも完成しました! 簡単!

こうなってくるとやっぱりベースも鳴らしたくなりますよね、ってわけでこれもコピペしてズコっとベーストラックに貼り付けます。

(画面写真貼っても同じなので省略)

ベース音をいじって、音を短めに、あとアシッドっぽいビキビキ音をアクセントに加えるように設定してドン!

 

ベースできたよ~。

上モノもさらにリサイクリング

さてちょっと完成に向けて上モノを追加していきたいですね。

ジングルなので声ネタ欲しいな~と思うわけですよ。でも極度の恥ずかしがり屋なので自分の声はイヤだし、深夜に歌ってくれる友達も居ないしな・・・。

といわけでトニオ君の登場です。

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▲「ジョジョの奇妙な冒険」第四部に登場するトニオ・トラサルディ

ってこっちのトニオではなくこちらです。

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気品漂う中低域を歌う、英語版バーチャル・オペラ・シンガー(原文ママ)

そう、あの初音ミクで有名なVocaloidからTONIOさんの登場となります。


クリプトン | TONIO(音楽ソフトウエア)

実はこのソフト、私はめちゃめちゃよく使ってます。声ネタの半分はコレです。爽やかさゼロの胡散臭いの声、どうやってもうまく歌ってくれないヘロヘロ感(単純に自分の打ち込みスキル不足です)、そしてほとんどの人がその存在さえ知らないドマイナー感! そして何より安い。どう考えても最高のソフトですね。

先ほどのようにこの話題になったときにジョジョネタをぶち込んだり「室井トニオ」とクライマー向けのネタを言ってみたり、何かと飲み会でも重宝するソフトであります。

 で! これはコピペでできないのでMIDIファイルのエクスポート→VocaloidでのインポートでMIDIファイルを持ち込みます。

 でいろいろと間引いてメロディっぽくして、「Gorge Advent Calendar Two Thousands fourteen♪」とインチキ臭く歌わせる・・・と。

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 ▲VOCALOID Editorでの打ち込み画面。ここでも元ネタのMIDIクリップを最大限に活用して(コピペして)いる

一通り調整して(といってもたいしたことしてないですが)、こんな感じかなーと思ったらエクスポート!

 うわぁ胡散臭い・・・・。

狙い通りのものが出来ました。

さてもうちょっと上物が欲しいなぁというわけでさらにコピペしてMIDIインストゥルメントをいろいろ試して、バイオリンの音がよさそうだったのでドン!

というわけで材料が揃いました。

ミックスして完成!

というわけで材料が揃ったので、いよいよゴールが見えてきました。いろいろ組み合わせてミックスしていきます。

先ほど作ったトニオの声は、Live上でピッチをいじったりしてちょっと変化を付けて、さらにピッチをずらした2トラックで鳴らしてさらにキモくします。さらに最後は一部だけ引き延ばしたりしてます。

ドラムは元素材・ゴルジェライズ素材・ハーフ素材を組み合わせて鳴らすようにします。

ベースはオートメーションでビキビキ言わせる瞬間を作ったりしてちょっと工夫。

というわけでドン!

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 ▲完成時のミックスの画面

気持ちが良くなるくらい同じクリップが使い回されたトラックの完成です!

 ま、実際にはここまで使い回すことはないんですが、自分のトラックでちょこちょことこの「普通のループの素材差し替えでゴルジェライズ」テクニックは使用しています。

例えばこれ。

 このループはまさにこの手法で作られたやつですね。

 でこの作り方どうなの? という疑問

 もちろんこの作り方を推奨しているわけでもないです。自分でもここまでありもののリズム使って作るどうなんだろう?って思うところはあります。しかし、この作り方で得るものは非常に大きいし、自分の方法論に合ってると思うところがあり。

という考えに至った経緯を簡単に書きます。

ちょっと話は違いますが、自分でトラック作りはじめた10年くらい前に好きな某有名音楽家が「MIDIのクォンタイズは使わない。自分でクリップ置いて自分で調整してこそ自分の音楽ができる」ということを語っていて、「なるほどそうなんだ~」といたく感心したことがあります。

それに感化されて自分も頑張って1個1個音を置いて打ち込みしてたんですが、どうにもこうにも才能もスキルもなくて時間だけがかかる毎日・・・。1曲も完成できずに、でも「いま作ってるトラックは名曲!」という変なプライドだけあってグダグダしてました。

ここでいわゆる「Strings of Life問題」にハマったわけです。


Rhythim Is Rhythim - Strings of Life (Original Mix ...

 カッコいいですよね~まさに名曲中の名曲であります。

Strings of Life問題」とは、「俺の作っているトラックがこんな名曲になるであろう」という確信だけあって、「まだそんな名曲になっていないから完成できない!」と勝手に思い込んで1曲も完成できずにグダグダしてることを言います。というか自分が勝手にそう名付けています。

で、グダグダしてるうちに社会人になり、才能もスキルもない上に時間もなくなってくるわけで、はっきりと分かってくるわけです。「俺にはStrings of Lifeみたいな名曲を作ることはできない」という暗く重い事実・・・ってもっと早く気づけよっていう話なんですが。

じゃあどうする? まあさっぱり音楽作るの辞めようっていうのも選択肢。一度はそれもありえたんですが、いろいろ考えて自分は「とにかく素早くいっぱいトラックを完成させよう。そのための方法にはこだわらないようにしよう」という結論になりました。

とにかく完成させる、方法論にはこだわらない、そのために利用できるものは利用する。どうにもならない駄曲がたくさんできることは才能が無いから当たり前、むしろ100曲に1曲くらいたまたま面白いことができたらラッキー、くらいの考えでアウトプット重視でやるようにしました。

でその中でみつけたのがこの方法だったりするというわけです。とにかく思いつく限りのアイディアで素早く作って、作ったトラックは恥かしいけど何回も聴いていいとこを見つけて次のトラックに活かす。ダメだったら諦める。

まあPDCAサイクルを素早く回すみたいな話なんですが、こちらのやり方の方が自分にはあってるし、何より曲ができていくのは楽しいわけで。そして反応があったりしたら最高に嬉しいということで。完成させないと反応は無いわけですからね~。

このStrings of life問題周りはいろいろと書きたいことあるんですが、蛇足過ぎるのでまた別の機会に!

おわりに

というわけでちょっとトラックメイクに行き詰ったときにこの方法は意外な刺激があって非常に面白いと思うので、ぜひ試してみてください。「お前こんなお手軽に作ってるのかよ!」という批判は小心者の私は「へへへ」みたいな顔しつつ裏で凹むのでやめてください。

とにかくいろんな音楽がどんどん出てきて音楽がもっと面白くなればいいな~と思い今回は終了です。

次は小倉のGorge怪人Kazuki Kogaが何か書いてくれるはずです! お楽しみに。